日本大学生産工学部 土木工学科日本大学生産工学部 土木工学科

ドボクの研究

研究クローズアップ!

研究クローズアップ! /その1

日本の道路を、
もっと安全・快適にしていくために

土質工学研究室

秋葉 正一教授

舗装の専門家として、道路の老朽化問題に取り組む
2012年12月、中央自動車道の笹子トンネルで、老朽化した天井板が突然、長さ130メートルにわたり落下する大事故が発生しました。これをきっかけに、国は事故の翌年を道路の「メンテナンス元年」と位置づけ、全国の道路施設の老朽化対策を速やかに進めることとしました。
そのために設けられた技術委員会に「舗装」の専門家として加わり、安全な道路を維持管理するための諸課題に取り組んでいるのが、土木工学科土質工学研究室の秋葉正一教授です。
「従来の道路管理は、壊れたら直すという受け身の姿勢で行われてきました。しかしこれからは、計画的な『予防保全』にシフトすることが重要です。点検・診断・措置・記録からなる『メンテナンスサイクル』をうまく回せば、道路の安全を守るだけでなく、長寿命化も図れ、維持管理コストの削減にもつながります」と秋葉教授。
この技術委員会での議論を経て2013年、全国の橋・トンネル・舗装・標識・照明など、あらゆる道路施設の総点検が行われました。また、道路法の改正や、定期点検の基準なども新たにまとめられました。この一連の取り組みの中で秋葉教授は、舗装に関する点検要領のとりまとめ役という重責を担っています。

無電柱化することにより、防災性が高く、美しい街並みが形成される。

安全や美観を損なう電柱を、日本の道路から減らしたい
秋葉教授が力を注いでいるもう一つの取り組みは、道路の「無電柱化」の推進です。日本の都市の無電柱化は、欧米など諸外国の都市に比べて立ち遅れているのが現状。東京都の小池知事も政策として打ち出しており、世間の関心も高まっています。
そのメリットの一つは防災性の向上です。無電柱化すれば大地震などのときに電柱が倒れて緊急車両や避難住民の通行が妨げられることがありません。また、道路上から電柱が消えることで、普段から道路利用者が安全・快適に通れるようになります。
さらに、美しい街並みに貢献することもポイントです。
「実際、無電柱化を進めた金沢市では、景観の魅力が高まり、観光客が増加したというデータもあるんですよ」と効果を強調します。
秋葉教授は、無電柱化に関わる官民合同の委員会のリーダーを務め、最大の課題となっている工事費削減の方策の検討などに尽力しています。
そのほか、2016年に大きなニュースとなった福岡市中心部での道路陥没事故の後に設けられた、地下空間利用の安全技術を検討する委員会にも、主要メンバーとしても参加。その活躍の場はますます広がっています。

無電柱化工事のポイントは、埋設した電線の機能に影響を与えない舗装を行うこと。

社会的ニーズの高い研究テーマに取り組めるのが魅力
幅広い社会活動に取り組む秋葉教授のもとで、研究室の学生も安全で快適な道路の維持管理に関わる先端的な研究を行っています。
たとえば、アスファルトのリサイクル材料の開発研究はその一つ。古い舗装材料の活用と道路の長寿命化という、両立が難しい技術の確立をめざしています。また、無電柱化の工事では電線を地中に埋設しますが、そのとき、砕石などでケーブルに傷がつかないようにする方策の研究も学生の手で進めています。
「社会的ニーズの高い公共事業とリンクする研究に取り組むことで、土木分野の最先端のテーマに触れることができるのは、この研究室の大きな魅力です」と秋葉教授は語ります。
学生は、現場のリアルな課題を肌で理解しながら、技術面のみならず、コスト意識やプロジェクト管理のポイントなど、経営の視点も養うことができるのです。将来、どんな分野に進んでも必要とされる、実践的な課題解決能力を身につけたエンジニアを育む環境と言えるでしょう。

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